シンスプリント
シンスプリントについて
シンスプリントは、運動をする人に多く見られる、すねの痛みが生じるスポーツ障害の一つです。特に、ランニングやジャンプを繰り返すスポーツをする人に起こりやすいと言われています。運動時および運動後に脛骨中央から遠位1/3の内側後方を中心に縦長に広い範囲で痛みがおこる過労性障害で過労性脛骨骨膜炎とも呼ばれています。初期には運動中だけ痛むことが多いのですが、症状が悪化すると日常生活にも支障をきたすことがあります。
適切な対処をすることで改善が見込めるため、シンスプリントについて正しく理解し、早めのケアを始めることが大切です。
シンスプリントの症状について
シンスプリントの主な症状は、すねの内側の痛みです。具体的には、以下のような症状が現れることがあります。
- 運動時の痛み: 運動を始めた直後や、運動中、または運動後にすねの内側(くるぶしから膝にかけての内側の骨に沿った部分)が痛みます。初期には運動時のみに痛みを感じることが多いですが、進行すると安静時にも痛むようになることがあります。
- 押すと痛い: 痛む部分を指で押すと、ズキッとしたり、鈍い痛みを感じます。広範囲に痛むこともあれば、特定の場所だけが強く痛むこともあります。
- 腫れや熱感: ボールを握る、タオルを絞るなど、手で何かを強く握る動作をすると、肘の内側に痛みを感じることがあります。
- 腕を内側にひねる際の痛み: 痛む部分が部分的に腫れたり、熱を持ったりすることがあります。ただし、骨折のように強い腫れや熱感が出ることはめったにありません。
- 筋肉の張り: すねの筋肉が硬く張ったように感じることがあります。
- 症状の悪化: 運動を続けることで痛みがさらに強くなる傾向があります。
これらの症状は、疲労骨折といった他の疾患と似ている場合もあります。そのため、自己判断せずに専門の医療機関を受診し、正確な診断を受けることが重要です。
また診断時にはレントゲン画像だけでは正確な骨病変がみられないことが多いため、MRIを使用することが有用とされています。
シンスプリントの原因について
シンスプリントは、様々な要因が複合的に関わって発生すると考えられています。主な原因としては、以下のものが挙げられます。
- オーバーユース(使いすぎ): ランニングの距離や時間、頻度を急に増やしたり、過度な練習を続けたりすることで、すねの筋肉や骨に過剰な負担がかかり、炎症を引き起こします。
- 不適切なトレーニング: ウォーミングアップやクールダウンが不十分であったり、ストレッチ不足であったりすると、筋肉が硬くなりやすく、シンスプリントのリスクが高まります。
- 足に合わないシューズ: クッション性やサポート性の低いシューズを使用していると、運動時の衝撃を十分に吸収できず、すねに負担がかかります。
- 扁平足や回内足: 足の裏のアーチが低い扁平足や、歩行時や走行時に足首が内側に倒れやすい回内足の場合、すねの筋肉に過度な負担がかかりやすくなります。
- 柔軟性の低下: ふくらはぎや足首の柔軟性が低いと、運動時にすねの筋肉が過度に引っ張られやすくなります。
ここれらの要因が単独で、または複数組み合わさることで、シンスプリントが発症すると考えられています。
シンスプリントの種類について
シンスプリントは、痛む場所や原因によっていくつかの種類に分けられることがあります。主な分類としては、以下のものがあります。
症状は痛みに応じて、以下のように分類できます。
- ステージ1:運動時のみ痛みがある
- ステージ2:運動前後に痛みがあるが、スポーツ活動に支障はない
- ステージ3:運動前中後に痛みがあり、スポーツ活動に支障をきたす
- ステージ4:痛みが強くスポーツ活動は不可能
ステージ3以上では運動を中止する必要があります。
シンスプリントの治療方法について
シンスプリントの治療は、痛みの程度や状態に合わせて行われます。初期の軽い症状であれば、保存療法で改善することがほとんどです。
保存療法
- 安静: 痛む部分を休ませることが最も重要です。運動を中止し、痛みが引くまで安静に過ごします。痛みが強い場合は、日常生活での負担も減らすように心がけましょう。
- アイシング: 炎症を抑えるために、痛む部分をアイシングします。1回15〜20分程度、1日に数回行うと効果的です。
- 薬物療法: 痛みや炎症を抑えるために、湿布や塗り薬、内服薬(痛み止め)などが用いられます。
- リハビリテーション: 専門の理学療法士による運動療法や物理療法が行われます。ふくらはぎや足首周りの筋肉をゆっくりと伸ばすストレッチやすねの筋肉(特に後脛骨筋やヒラメ筋)や、足首周りの筋肉、体幹・股関節を鍛えるトレーニングを行います。これにより、運動時の安定性を高め、再発を予防します。運動前後のウォーミングアップやクールダウンにも積極的に取り入れましょう。
- インソール(足底挿板): 扁平足や回内足が原因と考えられる場合には、足のアーチをサポートするインソールを使用することがあります。これにより、すねにかかる負担を軽減することができます。
- サポーター: 痛む部分をサポートするために、サポーターを使用することがあります。ただし、サポーターに頼りすぎると筋力低下につながることもあるため、注意が必要です。
- 薬物療法: 痛みが強い場合には、痛み止めや湿布などが用いられることがあります。
おわりに
シンスプリントは、適切なケアとトレーニングの見直しを行うことで、多くの場合改善が期待できるスポーツ障害です。痛みを感じたら無理に運動を続けず、早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。また、日頃から適切なウォーミングアップやクールダウン、ストレッチを心がけ、体に合ったシューズを選ぶなど、予防策を講じることも大切です。