腕のしびれ
「なんだか最近、腕がピリピリする」「指先がジンジンして感覚がない」といった腕のしびれを感じたことはありませんか?腕のしびれは、日常生活でふとした瞬間に現れ、不快感や不安感を覚えるものです。一時的なものだろうと放置してしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、その裏には何らかの疾患が隠れている可能性もあります。
このページでは、腕のしびれについて、その症状、診断方法、原因、そして治療法について詳しく解説していきます。ご自身の症状と照らし合わせながら、理解を深めていただければ幸いです。もし気になる症状があれば、自己判断せずに医療機関を受診することをおすすめします。
腕のしびれの症状について
腕のしびれと一口に言っても、その感じ方や現れる場所、伴う症状は様々です。具体的には、以下のような症状が現れることがあります。
- 感覚の異常:
- ピリピリとした痛み
- ジンジンとした痺れ
- チクチクとした針で刺されるような感覚
- ビリビリとした電気が走るような感覚
- 触った時の感覚が鈍い、または全くない(感覚麻痺)
- 冷たい、または熱いといった温度感覚の異常
- 運動機能の低下:
- 力が入りにくい
- 物が掴みにくい
- 指先が思うように動かない
- 細かい作業がしにくい
- その他の症状:
- 肩や首の痛み
- 背中の痛み
- めまい
- 頭痛
これらの症状は、腕全体に現れることもあれば、手のひらや指先など、一部分に限定して現れることもあります。また、安静にしている時に症状が強くなる場合や、特定の動作をした時に症状が現れる場合など、症状の現れ方にも個人差があります。ご自身の症状を詳しく把握しておくことは、医師に伝える上で非常に重要です。
腕のしびれの診断方法について
医療機関では、腕のしびれの原因を特定するために、様々な診断方法が用いられます。
- 問診: まず、患者様から症状の詳細な情報を伺います。いつから、どのような時に、どこに、どのようにしびれを感じるのか、他に気になる症状はないかなど、詳しくお話をお伺いします。既往歴や生活習慣なども診断の重要な手がかりとなります。
- 神経学的検査: 医師が、患者様の感覚、運動能力、反射などを確認する検査を行います。例えば、触覚や痛覚、温度覚の検査、筋力テスト、腱反射の検査などを行い、どの神経に異常がある可能性があるかを調べます。
- 画像検査:
- レントゲン検査: 骨の異常(変形、骨折、腫瘍など)の有無を確認します。
- MRI(磁気共鳴画像)検査: 椎間板ヘルニア、脊髄腫瘍、神経の圧迫など、軟部組織の状態を詳しく調べることができます。
これらの検査を組み合わせて行うことで、腕のしびれの原因となっている病気や状態を特定し、適切な治療法を選択することができます。
腕のしびれの原因について
腕のしびれの原因は多岐にわたります。主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。
- 神経の圧迫:
- 頸椎椎間板ヘルニア: 首の骨の間にある椎間板が飛び出し、神経を圧迫することで腕や手にしびれが生じます。
- 頸椎症: 加齢などにより頸椎が変形し、神経を圧迫することがあります。
- 胸郭出口症候群: 首から脇にかけての神経や血管が圧迫されることで、腕や手にしびれや痛みが生じます。
- 肘部管症候群: 肘の内側にある神経(尺骨神経)が圧迫されることで、手の小指側や薬指の一部にしびれが生じます。
- 手根管症候群: 手首にある神経(正中神経)が圧迫されることで、親指から薬指にかけてしびれや痛みが生じます。
- 血行不良:
- 末梢血管障害: 動脈硬化や血管炎などにより、腕や手の血流が悪くなり、しびれが生じることがあります。
- レイノー病・レイノー症候群: 寒さやストレスにより、指先の血管が一時的に収縮し、血行が悪くなることでしびれや蒼白、チアノーゼなどが起こります。
- その他の病気や状態:
- 糖尿病性神経障害: 糖尿病の合併症として、末梢神経が障害され、しびれが生じることがあります。
- 脳卒中: 脳の血管が詰まったり破れたりすることで、運動麻痺や感覚障害の一つとして腕のしびれが現れることがあります。
- 多発性硬化症などの神経系の病気: 脳や脊髄の神経線維が障害されることで、様々な神経症状の一つとして腕のしびれが現れることがあります。
- 薬の副作用: 特定の薬の副作用として、末梢神経障害が生じ、しびれが出ることがあります。
- 脱水や電解質異常: 体内の水分やミネラルバランスが崩れることで、神経や筋肉の機能に影響が出て、しびれを感じることがあります。
腕のしびれの治療法
腕のしびれの治療法は、その原因となっている病気や状態によって大きく異なります。
保存療法:
-
- リハビリテーション: 運動療法やストレッチ、神経や筋肉の滑りを良くする手技などを行い、機能回復を目指します。
- 薬物療法: 痛みや炎症を抑えるための内服薬(鎮痛剤、消炎鎮痛剤、神経障害性疼痛治療薬など)、血行を改善する薬、ビタミン剤などが用いられることがあります。
- 装具療法: 首や手首などを固定する装具を使用することで、神経への負担を軽減します。
手術療法:
-
- 保存療法で症状が改善しない場合や、麻痺が進行している場合などには、手術が検討されることがあります。手術の方法は、原因となっている病気によって異なります(例:頸椎椎間板ヘルニアに対するヘルニア摘出術、手根管症候群に対する正中神経剥離術など)。
生活習慣の改善:
-
- 長時間の同じ姿勢を避ける
- 適度な運動を心がける
- 禁煙する
これらの治療法は、患者様の状態や原因に合わせて、医師が適切なものを選択し、組み合わせて行われます。自己判断せずに、まずは医療機関に相談することが大切です。