「なんだか手首が痛む…」私たちは日常生活の様々な場面で手首を使います。物を掴む、持ち上げる、書く、パソコンを操作するなど、その動きは多岐にわたります。そのため、手首に痛みを感じると、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。軽い痛みで済むこともあれば、我慢できないほどの強い痛みや、動かしにくさを伴うこともあります。

このページでは、そんな手首の痛みについて、その症状、病院での診断方法、考えられる原因、そしてどのような病気が潜んでいる可能性があるのか、さらに具体的な治療法まで、詳しく解説していきます。「もしかして、私の手首の痛みも何か原因があるのかな？」と感じている方は、ぜひこの先を読み進めてみてください。

手首の痛みの症状について

手首の痛みといっても、その感じ方や現れる場所は様々です。

• ズキズキとした痛み：まるで刺すような、鋭い痛みを感じることがあります。
• 鈍い痛み：重く、じんわりとした痛みが続くことがあります。
• 手首を動かすと痛む：手首を曲げたり、伸ばしたり、回したりする際に痛みが強くなることがあります。
• 特定の場所を押すと痛む：手首の甲側、手のひら側、親指側、小指側など、特定の場所を押すと強い痛みを感じることがあります。
• 安静にしていても痛む：何もしていなくても、じっとしているだけで痛みを感じることがあります。
• 手首の腫れや熱感：手首が腫れたり、熱を持ったりすることがあります。
• 手のしびれや力が入りにくい：手首の神経が圧迫されると、手や指にしびれを感じたり、物が掴みにくくなることがあります。
• 手首の動きが制限される：手首がスムーズに動かせなくなったり、可動域が狭くなったりすることがあります。

これらの症状は、痛む場所やタイミング、他の症状の有無などによって、原因となっている病気や状態が異なる可能性があります。

手首の痛みの診断方法について

医療機関では、手首の痛みの原因を特定するために、いくつかの方法を組み合わせて診断を行います。

• 問診：いつから、どこが、どのように痛むのか、どのような時に痛みが強くなるのか、過去の怪我や病歴、仕事内容や趣味などを詳しく聞かれます。できるだけ具体的に伝えることが大切です。
• 触診：医師が手首や手、指などを実際に触って、腫れや熱感、圧痛（押すと痛む場所）、可動域の状態、変形などを確認します。
• レントゲン検査：骨折、脱臼、関節の変形、骨棘（骨のとげ）の有無などを確認するために行われます。
• MRI（磁気共鳴画像）検査：レントゲンでは写りにくい、靭帯、腱、軟骨、神経などの軟部組織の状態を詳しく調べることができます。
• 血液検査：関節リウマチなどの炎症性疾患が疑われる場合に行われることがあります。

これらの検査の結果と、問診や触診での情報を総合的に判断して、手首の痛みの原因が特定されます。

手首の痛みの原因について

手首の痛みの原因は多岐にわたります。

• 使いすぎ（オーバーユース）：パソコン作業、スマートフォンの操作、手芸、楽器演奏、スポーツなど、手首を繰り返し使うことで、筋肉や腱に負担がかかり、炎症や損傷を引き起こすことがあります。
• 加齢による変化：年齢とともに、手首の関節や軟骨がすり減ったり、変形したりすることがあります。
• ホルモンバランスの変化：妊娠や出産、更年期などによるホルモンバランスの変化が、手首の痛みを引き起こすことがあります。
• 神経の圧迫：手首の近くで神経が圧迫されると、痛みやしびれが生じることがあります。
• 炎症性疾患：関節リウマチや痛風などの炎症性疾患が、手首の関節に炎症を引き起こし、痛みや腫れを生じさせることがあります。
• ガングリオン：手首にできるゼリー状の腫瘤で、神経を圧迫して痛みを生じることがあります。

これらの原因が単独で起こることもあれば、いくつか重なって痛みを引き起こすこともあります。

手首の痛みの病気の種類について

手首の痛みを引き起こす可能性のある病気は様々です。

• 手根管症候群：手首の手のひら側にある手根管というトンネルの中で、正中神経という神経が圧迫されることで、親指から薬指にかけてのしびれや痛み、夜間の痛みなどが起こります。
• ドゥケルバン病：親指側の手首にある腱鞘（腱を包むトンネル）が炎症を起こし、親指を動かすと強い痛みが生じます。
• TFCC損傷（三角線維軟骨複合体損傷）：手首の小指側にある軟骨組織が損傷することで、手首を回したり、手をついたりする際に痛みが生じます。
• 関節リウマチ：自己免疫疾患の一つで、全身の関節に炎症が起こりますが、手首にも早期から症状が現れることが多いです。
• 変形性関節症：加齢や使いすぎなどにより、手首の関節の軟骨がすり減り、骨棘ができたりすることで、痛みや可動域制限を引き起こします。
• キーンベック病（月状骨無腐性壊死）：手首にある月状骨という骨への血流が悪くなり、骨が壊死してしまう病気で、強い痛みを伴います。職業的には手をよく使う方に多く見られます。
• ガングリオン：手首にできる良性の腫瘤で、無症状のこともありますが、神経を圧迫すると痛みやしびれが生じることがあります。
• 骨折・捻挫：手首の骨折や捻挫は、直接的な外傷により強い痛みを引き起こします。

これらの病気以外にも、痛風や感染症などが原因で手首の痛みが生じることもあります。

手首の痛みの治療法

手首の痛みの治療法は、原因となっている病気や症状の程度によって異なります。

• 安静：痛む部分をできるだけ動かさずに安静にすることが基本です。
• アイシング・温熱療法：炎症が強い場合は冷やし、慢性的な痛みには温めるなど、症状に合わせて使い分けます。
• リハビリテーション：ストレッチや筋力トレーニングなどを行い、手首周りの筋肉の柔軟性や可動域改善を図り、負担を軽減します。
• 薬物療法：痛み止め（内服薬や湿布、塗り薬など）、炎症を抑える薬などが用いられます。
• 装具療法：サポーターや装具で手首を固定し、負担を軽減します。
• 注射療法：炎症を抑える薬などを患部に注射することで、痛みを和らげることがあります。
• 手術療法：薬物療法や理学療法などで改善が見られない場合や、神経の圧迫が強い場合、靭帯や腱の断裂などがある場合に行われることがあります。ガングリオンが大きい場合にも手術が検討されることがあります。

大切なのは、痛みを我慢せずに、早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることです。また、日頃から手首に負担のかからないような動作を心がけたり、適度な休息を取るなど、予防も重要です。この情報が、皆様の手首の痛みの理解と改善の一助となれば幸いです。もし、気になる症状がある場合は、自己判断せずに、早めに専門の医療機関を受診してください。